須賀敦子さんの「トリエステの坂道」読了。
10年近く前、何冊か買って読んだのだけど、先日の泉大悟さんの写真展で久しぶりにその名前を聞いて、また少しずつ読み始めていました。
須賀さんは写真を拝見するととても穏やかな笑顔のことが多いのに、文章は、穏やかだけれど熱いものでした。
読んでいると時々、「わーっ」と叫びながら100m位走らないと気持ちがおさまらなさそうになってしまうほど悲しくなる時もあるし、ふいに、とても強いお酒が喉元を過ぎていったようにカッと全身が熱くなるような時があります。その後須賀さんや家族や須賀さんのまわりのイタリアの人たちの気持ちやなんかを考えると暫くポーッと体が暖かくなったり、切なかったり、愛おしかったりなんとも言えない気持ちになったりするのでした。
それが淡々として知的な、芳醇な文章の中にかくれています。
もっと読みたい。もっと知りたい。と思います。
やっぱりすごいなあ。須賀さん。
やっぱり本っていいな。とも しみじみ思います。
具体的な形がないけれど、想像の中で膨らむ感情や場面に感動できることはイマジネーションの世界が膨らむ証拠でもあります。
その場面に入り込むまでが少しだけ時間がかかったとしても、そんな世界の入り口に入るトレーニングはしておくべき。
今は本を読まない人が増えているけど、本の世界はとても大切にしたいですね。
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本はいいですよね。
本は、ある時は良き友達でもあり、ある時は師であり、ある時はタイムマシンでもあり、どこでもドアでもあり、一時的な避難場所でもあり…。
読む楽しさを知っていて良かった、と思います。
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